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愛宕神社   2020.12




 天気予報では朝から晴れるはずだったが、かなり厚い雲が空を覆っている。

しかし、出かける予定の10時半が近づく頃には、雲に切れ目が出来、昼から午後にかけては散歩日和になりそう。

今日は、天気により、曇りなら今までに行った品川などで、写真を撮りそこなったところ、晴れたら愛宕神社に決めていた。

晴れそうなので、愛宕神社にする。

新検見川からはいつものようにJRだが、西船橋から東西線に乘り換え、茅場町から日比谷線で神谷町へ。

この線は、サラリーマン時代に30年近く通ったルートで、当時降りたのは神谷町のひとつ先の六本木だった。

地下鉄サリン事件のあった、1995年(平成7年)320日にも、(850分頃)いつものこのルートで六本木の勤め先の会社に向かっていた。

死亡者、負傷者6000人を超えるこの事件は、その後も多数の後遺症になやむ人や、捜査面での誤解に苦しむ人々を残した。

私は、数駅の違い、十数分のズレのお蔭で、無事でいる。

しかし、つくづく思うのは「洗脳」の恐ろしさ。

この事件に限らず、団体の中で洗脳され、論理の間違いに気づかず、犯罪に走る人が後を(前にも)絶たない。

「怪しげな宗教(オウムもこれだった)」、「怪しげな商品」や「怪しげで一方的な主張(日本が戦争に突入してしまったのもこれだろう)」に(そもそも「怪しげ」ではなく、初めから「間違った」モノだが……)惑わされてしまうことは、どうやって防げば良いのか。

いろいろな角度から考えて、自身で是非を判断する力を子供の時から養成するしかないのだろう。

 そんなことのあった日比谷線の神谷町に向かっていると「次は、虎ノ門ヒルズ、虎ノ門ヒルズ」というアナウンス! えっ、そんな駅があったか? 少し前まで霞が関の次は神谷町だったが・・・ ホームの表示にもしっかり「虎ノ門ヒルズ」とある。

(帰宅後にネットで調べたところ、2020年(令和2年)6月に暫定開業したとのこと。今年の6月開業のことを私が知っている訳もない。)

まあ、「オレも認知症が始まったか」と、下車しての確認は止めて次の神谷町で下車し、地上に出た。

しかし、地上に出てまた「ここはどこ?」
(「ワタシはダーレ?」とまでは呟かなかったが。)
 認知症をバカにしている訳ではありません。私も近いうちにそうなりますから。)

確かにこの駅で降りるのは久しぶりではあるけれど、何十年も経ってはいない。

でも、景色は覚えがないので、本道の信号機傍の道路標示版で、飯倉はあっち、虎ノ門はこっち、えーと、こっちは、ああそうかホテルオオクラの裏の坂道か……、と方向を確認して、愛宕(山)トンネルの方向の南南西に針路を取る。

 



 歩いて5分もしないうちに、細い道路の向こうにトンネルが見え、林に覆われた小さな山(丘?)が見える。





トンネルの手前で山に登るつづら折れの鉄の細い階段があり、「愛宕神社参道」としてある。







折り尺(オリジャク=黄色くて、折り畳める、大工さんの物差し)のように鋭角に曲がった階段を3折れほど上ると、もう愛宕山(標高26m)の上に出る。




左手に愛宕神社、右側の広場の向こうにNHK放送博物館。

左の境内のモミジは真っ赤に紅葉し、向こうの本道を美しく覆いながら飾っている。






愛宕山のNHK放送博物館と言えば、田舎の小学校の遠足で「はした山」という山の上のお寺に行ったことを思い出す。

お寺が目的ではなく、「テレビジョン」で放送を見ることができるからだった。

お寺の書院のようなところにテレビが鎮座していて、その前にみんなで座って見つめていると、ニュースが始まった。雨降りのような画面にアナウンサーが現れ、(きっとニュースだろう)を読み始めた。

これが生まれて初めてみるテレビ放送だった。

なぜ山の頂上のお寺のテレビかというと、当時はその辺りで一番高いそこでしか電波を受信できなかったので、平地にはテレビは無かった。(高価だったのもあるだろう)

その時の電波は東京の愛宕山山頂から発信されていたはずだ。

ネットで調べると、1925(大正14)年7月、愛宕山山頂に東京放送局が完成し、日本で初めてのラジオの本放送が始まり、その愛宕山からの放送は、内幸町に新放送会館が完成し、放送機能が移る1939(昭和14)年5月まで続いた。そして、1953年(昭和28TV放送が開始された。

これで見ると、あのテレビの放送は内幸町から発信したことになるが、やっぱり、愛宕山の山頂から発信した電波を、1000キロ離れた、遠足で行った田舎の一番高い山の頂上のお寺のテレビで見た、という方がロマンがあるから、史実には反するが、私は「愛宕山からの電波」と思うことにする。

 また、愛宕山は「鉄道唱歌」の最初の歌詞で、

汽笛一声(いっせい)新橋を
はや我汽車は離れたり
愛宕(あたご)の山に入りのこる
月を旅路の友として……

1900年に発表されたそうだ)

と歌われている。

 その愛宕神社にお参りする。



 説明パネルによると、愛宕神社は、火産霊命(ほむすびのみこと)を主祭神として祀る、火伏せに霊験のある神社とのこと。

新型コロナ対策として、お参りする人は間隔を空けて列に並ぶことになっている。みんなマスクをしている。私もバッグの中に3枚ほどはマスクを用意している。



社殿の前の庭には、招き石、将軍梅などがあり、

本殿の隣には大黒天など3社の祠もある。

 


境内には池があり、数十匹のコイが渦を巻いて泳いでいる。

誰かが社務所で餌を買って撒いたので、水しぶきがあがった。

お蔭できれいな絵が取れた!

広くて急な石段の男坂、すこしゆるやかな女坂も、とりあえず上から眺めておく。




 

お参りを終えて、「さあ、どこでおにぎりをたべようか?」と、ランチポイントを探す。

神社の境内は狭く、ベンチも無いから、NHKの博物館前の広場の端にベンチを見つけたので、今日のランチはここにする。先客も何人か弁当を広げている。


 いつものように特大のおにぎりと麦茶のランチを終えて、すぐ脇のトンネルの向こうを見るとエレベーターがあり、人も下りて来る。

立ててある地図を見ると、その向こうにも神社があるらしい。

エレベーターで1階に降りる(エレベータ―の外壁は透明で外が見える)と目の前に曹洞宗大本山總持寺出張所があった。 










 更に愛宕グリーンヒルズフォレストタワーを右に見ながら進むと青松寺。

 

上から見た愛宕山近辺の地図をみて、愛宕神社、NHK放送博物館、總持寺出張所、青松寺、摂取院は同じ平面、つまり愛宕山の上にあると思い込んでいた。全くの勘違いだった。

また、道路の向こうの慈恵医大病院(東京慈恵会医科大学病院)を見て思い出した。11年程前に相当な皮膚炎に罹り、あの病院に3ヵ月余り通ったことがあり、その時一度愛宕山に登ったのだった。その時は病院があるこちらの南側からエレベーターを巻くように上る階段を徒歩で登った気がする。 

青松禅寺に話を戻すと、 

太田道灌雲岡舜徳を招聘して文明8年(1476)に創建とのこと。先ほどの總持寺と同じく曹洞宗の禅寺で、通称は青松寺だが、帰りに山門の額を見ると青松禅寺とあった。正式には「萬年山 青松寺」と言うらしい。


 境内にはモミジが真っ赤に咲き?誇り(と言いたいぐらいの鮮やかさだ)









鐘楼が静かな佇まいを見せている。






その隣には「雲堂」永平元年 の額が掛かっている座禅堂。

本堂を挟んで、庭の向かい側に観音聖堂。






帰りは正門からと思い、振り返ると中雀門。



本通りの歩道から見ると、山門が。



桜田通りに沿って歩道を戻り、再び愛宕神社を目指す。



 なぜ? さっき上から見た大きな階段を、今度は下から登ってみるためだ。

工事中の幕の陰の路地から、大鳥居と石段が見える。

右の狛犬の後ろから上っているゆるやかな石段が女坂、正面の大きな石段が男坂。

  

男坂は別名「出世の石段」というらしいけれど、私の場合、今更出世を考える年齢ではない。でも、やっぱり、上ってみる。



 1
段、2段、3段……。これはなかなか急な階段だ。しかも、いつもは「おにぎりランチ散歩」のことも考えて、少しおとなし目のスニーカーだけど(カミさんは、ブレザーにスニーカーはおかしい、というけれど)、今日は偶々カミさんの意見を容れて革靴だ。しかも買ってから2度目の歩き。

靴の裏はまだ地面に慣れていないので、裸石の上は滑りやすい。(コンクリートではないから)

70段ほど登って向きを変え、下をそっと振り返ると、おっ、というぐらい急な石段が下に向かって伸びている。

これは危ない、と思って、後は端の手すりに掴まりながら登り終えた。

80数段を上り終えて頂きに着くと、息が切れている。自分の年齢と体力の衰えを再認識した。(と言うか、思い知らされた! まあ、70年過ぎたから「経年劣化」が進んでいても当たり前か)。

 

 

一の鳥居をくぐり……。




境内に戻り、右手の弁財天にお参りし、さっきのコイの池を巡って、今日の散歩は終了。

こんなにあちこちの神社やお寺に、家族の健康をお願いしているのだから、きっとみんな元気に過ごし、育ってくれるだろう。まあ、お賽銭を上げないで「お願い」だけしたところもあるけれど……。
 神田明神の境内には明神の他に7人も神様がいたし、ここにも大黒さんや弁天さん、など5人の神様がいるから、お賽銭はすこし「さぼった」! でも全部にお願いをした。)


来た時の、愛宕山の裏側の階段を下りて神谷町から地下鉄に乗り、打ち合わせ場所へ。


  今日の歩数は 11,000 歩。

 


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