午後の打ち合わせは14時半からの予定なので、時間の余裕があるように、11時少し前に家を出た。その頃には薄日も射していた。
西船橋で東西線の快速に乗り換え、九段下まで一直線。地上に出ると、目の前が北の丸公園。
浜離宮にしても、新宿御苑にしても、開園時間が決まっているし、新型コロナの流行状況によっては「臨時休園」になるから、これからもしばらくは「門の無い」公園や神社を歩くことにした。
流石は江戸城の門だと感心する。
ふと見ると、門とサツキの植え込みの間に細い路があり、狛犬の像が見える。
近寄って見ると、「彌生慰霊堂」(やよいいれいどう)とある。この奥に何かの堂宇があるらしい。
これも帰りに見ることにして、先を急ぐ。なんとも空模様が怪しいので、取りあえずは園内を一周することを優先する。
車も通る園内の大通りを道なりに左に曲がりながら歩くと、八角屋根の日本武道館がある。
当時の日本人歌手の夢は、まずこの武道館で歌うこと、その次にはアメリカのカーネギーホールで歌うことで世界的な歌手になることだった。
道路を横切り、向かい側の林の道を歩く。
林は広大だが、雑木や雑草は伐採し、刈り取られて、きちんと整備されている。
「近衛歩兵第二連隊記念碑」とあり、この碑は有志の方がたが昭和43年に建立したものとのこと。傍らには記念樹の橘が植えてある。昭和58年の植樹とか。
写真を撮っている人に挨拶をして「早いですね」と言うと、「今年は暖かいから早いのでしょう。普通はもう1ヵ月ぐらい後ですかね」とのこと。 よく見かける藤より、少し淡い紫の小さな花が咲き誇っている。
品種は分からないけれど、八重桜の一種らしい。少し散り始めているけれど、存在をアピールしている。
近くには吉田茂元首相の銅像もある。
ここにはサラリーマン時代の思い出もある。
今日は健康散歩だから、館内に入って、ゆっくりと売店の商品をながめる。
「そうだ。まだおにぎりを食べてなかった!」と、急いで林道に戻り、先ほど通った道のベンチに陣取る。
カミさんから借りた(軽いから)日傘みたいな傘を差しながら、持参の特製おにぎりを、雨にも負けず……、ゆっくりと食べる。
目の前の白いサツキが少し濡れながらも輝いて見える。
ランチを終えると時を同じくして雨も止み、(私の日頃のオコナイが悪いのかな?)「散歩曇り」になる。
林も、碑も、桜も、建物も見たので、田安門に向かう。
細く緩やかな階段道を行くと目の前が開けて、お堂が見える。
賽銭箱が無いから、「警察、消防のみなさんお疲れ様でした」と灯篭の裏側にコインを置く。
さっき北の丸公園に入る時に、見るのを飛ばしたものだ。
「高燈籠(常燈名台)」ということで、靖国神社(道路:靖国通り)の向かい側の燈籠として設置されたものとのこと。
品川沖を通る船の灯台としても利用されたらしい。
もう一人の騎馬の銅像は、大山巌。薩摩藩出身で、日露戦争では、「陸の大山、海の東郷」と称され、後に内務大臣を務めたとのこと。
ここは道路の向かい側の、靖国神社の続きのような地で、明治から昭和に活躍した人を銅像にして祀ってあるようだ。
私は、戦争を知らない世代で、特別なアピールはしないけれど、戦争だけはしないで欲しい、してはいけない、と思っている。 ひとりの英雄が現れる陰で、幾多もの戦士が地に眠り、その家族の慟哭が聞こえて来る。
今日の歩数 12,500歩
|