今年のお盆は、近くの親戚は墓参りをしたが、遠い親戚(と言うか、自分の実家の先祖)には、西(実家のある岡山の方向)を向いて手を合わせて、家族のお護りをお願いして済ませた。 考えてみると、十万億土に旅する父母の冥福を祈るより、今の自分の家族の平和を守ってくれるよう、その父母にお願いしているのだから世話はない。 まあ、私が死んだ後で、子供達や孫たちもそうすれば良いのであって、私はその願いを叶えてやるべく、はてしない旅をしながら、最善の努力をするよ。 それが「ご先祖さま」の役割だ。 で、今日は朝8時過ぎに時々仕事のある品川に着いて、意外と早く仕事が片付き、その後かなり時間がある。
散歩先のアイデアが浮かばないので、スマホのネットで「目黒区 林試」と入れて見る。
以前、パソコンで都内の公園を調べた時、変わった名前の公園が目黒か品川の方にあった記憶が残っていたので、試してみた。
「東京都立林試の森公園」というのが検索にかかって来た。
これですよ、探しているのは!
この公園の名前が少し変わっている理由は、ネットのHPが説明してくれる。
「1900年に目黒試験苗園としてスタートしたのち、平成元年(1989)、林業・森林の研究機関「林業試験場」跡地に開園した都立公園。東西に700m、南北に250m、品川区と目黒区をまたぐ細長い公園で約45分で外周園路を1周できます」
と、ある。
小学校の頃は、農家のための「家の光」の子供版「こどもの光」を眺めて育ったから、上京して中央線に乘っていて飯田橋の「家の光協会」の看板を見た時はホッとしたものだ。(その後、読む本は「子供の科学」にも広がっていった。これもとても良い本だった)
米の「農林21号」とか、さつま芋だったか「農林〇〇号」とか、昔の新品種には農林を冠にした名前の作物が多かった。今は、地方の試験場で改良した品種には「とちおとめ」とか「さちのか」とか、優しく親しみの持てる名前を付けて「ブランド」にしている。それはそれで地域振興のために役立っている。
スマホの地図を見ながら、商店街とは駅を挟んで反対側の公園へ向かう。
そもそも観光地ではないから、道を教えてくれる看板があるわけでもなく、道も路地が入り組んでいて分からないので、交差点で通りがかりの人をつかまえて「すみません。公園への道はどちらですか?」と尋ねると「あの信号を渡ったら、あとは真っすぐです」と教えてくれる。武蔵小山のひとは親切だ。
その名も「水車門」。
そうそう、品川駅で公園のサービスセンターに電話して「今日は入園できますか?」と聞いたら、「うちはいつでも入れます」「緊急事態宣言の最中なのでダメかと思いまして」「いえ、うちはいつもオープンです」と、前にどこかの公園で聞いたと同じ返事だった。
公園の地図を見ると、入り口(門)は東西南北に沢山あり、出入り自由ということだ。
で、園内に入ったのは良いけれど、どこをどう廻ったら良いかわからない。
とりあえず目の前の池で亀たちの甲羅干しを眺めてから、時計回りに公園を歩くことにする。 大木の林の間の小径をゆっくり進む。
健康の記事には「運動のための散歩は、急いで駅に向かう時の速さで」とのたまうが、そんな速さではすぐに汗が吹き出し、熱中症になりそうなので、今日はともかく、普通の速度で公園一周を目指す。
生い茂る林の間の(下刈りはちゃんとしてある)道なので、体感温度は下界の(?)3,4℃ぐらいは下だと思う。
木陰を歩いている間は汗は出ないが、陰が切れると一気に暑さが襲ってくる。 少し歩くと、子供たちの歓声が聞こえてくる。
小さな幼児から小学生ぐらいの子供たちが水浴びをしたり駆け回ったりしている。
エリアの周囲は軽く網で囲ってあり、子供たちが怪我をしないように、付添の母親や池の担当者が視線を投げている。
私も遊びの邪魔にならないように、遠景で写真を一枚。
暑ければ池に飛び込んで体を冷まし、濡れたら草原を駆け回って太陽を浴びたり、ボールを蹴ったり。
えっ、私の子供時代? (この先で同じことを、何度も話すかも知れないけれど、)中国山脈の麓の田舎では、小学校にプールがあるわけでもなく、夏休みには、山に囲まれた溜池で、高学年の子供たちが孟宗竹や倒木を荒縄でしばって作った筏を舟代わり、同時に、救命ボート代わりにし、丸太の切れ端を浮き輪の代わりにして、水遊びをしていた。
平泳ぎの「マエハタ、ガンバレ!」は伝説となって「こくご」の教科書に載り、「フジヤマのトビウオ」と呼ばれた古橋広之進の時代も過ぎていたが、その「水泳ニッポン」の伝統を継ぐ山中毅たちが活躍して、ラジオや新聞に載っていた時代だった。
しかし、まだテレビも無い時代の片田舎の小学生は泳ぎのフォームは全く知らないから、いつも鼻が水面に出ている「犬かき」か「横泳ぎ」。
池の中では、ザブッ、ザブッではなく、ドボンッ、ドボンッ、トッポン、トッポン と、膝を曲げた足が水を打つ音が響いていた。
でも、みんな元気いっぱいで、ここの「ジャブジャブ池」の子供たちに負けないくらい自然の中の夏休みを楽しんでいた。
1964年の東京オリンピックの頃から、小学校にプールが出来たり、テレビで泳ぎのフォームを知って、それなりの泳ぎをする子供たちが増えていった。
話を公園に戻して……。
その先の空き地木陰のベンチで数人の老人(私と似たぐらいの人)たちが一休みしている。
こう書いてくると、いろいろな設備のあふれる公園のように聞こえるかもしれないが、実際は広大な林の中に、あまり巧まない空間が点在している。
しかし、トイレや給水設備は程良い距離を置いて用意してある。
広場では、ボールを蹴ったり、ネット無しのテニスをする小中学生のグループもいる。
倒木自然観察樹木:ユーカリ、樹高34m、幹回り329pに育ったもの。
北側の「せせらぎ門」の近くでは水面のトンボを追う親子連れがいたり、自転車やジョギングで公園を周回する人たちも多い。
ツバキの品種に「限り(かぎり)」というのや「秋の山」、「覆輪蜀光(ふくりんしょっこう)」、「草紙洗(そうしあらい)」などというのがあることを初めて知った。この花の季節に来たいものだ。
実は「つくし門」の辺りに、もっと樹の茂った木陰の小径もあったけれど、どこかに「カラスに注意してください」という立て札があった通り、手ごろなベンチで弁当を広げると、すぐカラスが数羽「オーイ、人間がエサを食べるぞ。こっちに来い!」と呼び交わしながら頭上の枝に飛来し、
(これは、見通しが良くて、人がそこそこに居るところでないと危ない)と判断して、この「出会いの広場」のベンチに陣取ったのだった。
カラスに大切な?卵焼きやおにぎりを掠められることもなく、無事に「おにぎりランチ」を終了。
公園から外の道路に出た途端に、焼けたアスワルトの熱が顔を襲い、ウッと息が詰まる。 やっぱり、緑(の樹々)の力は偉大だ、と再認識する。
もし、またこの武蔵小山に来ることがあったら、河津桜(カワヅザクラ)も有名らしいから、早咲きの桜の季節に来て、線路の向こうの下町の商店街も歩いてみよう。
今日の都内の最高気温34℃
歩数 17,800歩
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