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新宿御苑   2020.12




 今日の散歩先は新宿御苑。今年の春先だったか、一度行ったら月曜日の休苑日だったところだ。

 10時半頃新検見川で電車に乗ると、いつものように1車両に5,6人の乗客で、どこにでも座れる。晴れているから窓も開けてある。少し寒いけれどコロナ対策としては新鮮な空気を流すのは必要だ。

 千駄ヶ谷まで1時間丁度。南側に降りると、目の前に新国立競技場の屋根が見える。




 ひと昔前、大学生の頃に、体育の時間に先生が「国立競技場で競技をしたいヤツはいるか?」と聞いたことがある。

 
 なにかとおもったら、「大学生の縄跳び大会」があるから、希望者は誰でも参加申請できるとのことだった。(そりゃそうでしょ。国立競技場は広いから、縄跳び大会なら人数制限はない。)
 イキがっている年代の私達は「縄跳びかっ?!」と馬鹿にして参加しなかったけれど、今思うと「(旧)国立競技場でスポーツに参加」出来る最初で最後の機会だった!

 駅前の通りの街路樹の銀杏も紅葉が進んでいる。

 線路の下をくぐって少し歩くと御苑の市ヶ谷門に着く。

 
 入場料は高齢者で250円。ここの入場券にはバーコードが印刷してあり、当日中は何度でも入場できる。

 
 右手にサクラ園、左にこども広場が広がる。桜は葉を落とし、その下で絵を描いているひともいる。


 とりあえず、プラタナス並木のある東に向かう。

 歩道の脇にはベンチがちらほら置いてあり、ランチ場所の心配はなさそうだ。

 池があり、その斜面に植えてある木は大きくその葉もとても大きい。朴(ほお)の木かと思ったら、地図にはカエデと書いてある。

カエデというのは手の平のように広がっているものと思っていたが……

 更に進むと、林の道になって行く。
 


 この庭園は敷地の中に林があるのではなく、林の中に
公園を作っていったように感じる。都心で
森林浴ができるとは思わなかった。もっとも地表はきれいに整備され、すぐ塀の外には四角いビルが林立しているけれど……。




昔は武蔵野台で、そもそも新宿(内藤家の所有地内の地名なので内藤新宿とよばれていたらしいが)の辺りも江戸時代は林や野原だったからな、と自分を納得させる。







 「下の池」に出ると、水鳥が泳ぎ、水面に影を落とすモミジは真っ赤に紅葉している。







  林を抜けると青空に向かって枯れ葉を舞わせるプラタナスの並木が整然と立ち並んでいる。

 先日見た神宮外苑のイチョウ並木とはまた異なった秋の深まりと言うか、荒涼たる冬の訪れを感じる。
 数か月後に緑の新芽が出るまでの姿だ。

  プラタナスと言うと、(歌の影響か)西洋の街路樹のイメージだったけれど、スズカケノキ(鈴掛の木)のことだと知ったのは最近のこと。(ホント、中国山脈の麓の山の中を駆け回って育った割に、木のことを何も知らないことを自覚する) 

 プラタナスの並木の間の広場にバラ花壇があり、秋咲きのバラが色とりどりの花の競演が繰り広げている。(でも、矢張り春から初夏にかけての咲き方に較べると、少し寂しいかな。もっとも、その時期に来たことはないけれど)



その中に、見たことのない白い花をつけているものがある。
 
アツバキミガヨランと名札がついている。
 ユリ目リュウゼツラン科ユッカ属の耐寒性常緑低木だという。
 

  北側のプラタナス並木に行き、ゆっくりと散歩する。あまり運動になっていないが、膝の状態に合わせ、無理はしない。

 こちらの並木の歩道に置かれたベンチには、ぽつぽつと休憩の人や弁当を広げている人も。

日当たりが良いので、休憩には絶好地だ。

 わたしも持参の、ほんのりと温かみの残るおにぎりランチを広げ、麦茶を飲んで一休み。
 今日は、快晴だが気温は低い、という予報だったので、寒くなる帰宅時用にマフラーを用意してきたが、そのマフラーに出発前に温めたおにぎりとお茶をくるんで持ってきたので、まだ温かさが残っている)

目を先の広場に向けると、幼稚園の子供たちが保母さんに連れられて遠足?に来て、ケヤキの下の辺りで、芝生の上を歓声を上げながら駆け回っている。とても平和な眺めだ。そういえば中学生以下は入場無料だから、近くの園からお弁当時間にくることも出来るのだろう。

この御苑は、今まで歩いた庭園と違って築山で山水を表現したものではなく、スペースがゆったりとあるので、気持ちが休まる。
 ただ、この広さだと1時間余りの予定の時間内に全部歩くことは出来ない。(外周は4キロ近くある)もっとも、苑内の他のところに素晴らしい日本庭園が造ってあることに、後で気づくけれど。。。


  
再び池の続き(中の池)に戻ると、ゆるい傾斜の芝生の上では、昼寝をする人、母子でシートを広げてランチ中の人、カップルで池を眺めている人、歩道にはカメラ片手に池の中や水面に枝垂れたモミジの撮影ポイントを探す人。


桜(ソメイヨシノ)の林には何年も経て来た古木が枝と根を張り、また春に来てみたい気にさせる。

 池の畔には、水仙(「ペーパーホワイト」という種類だそうだ)が咲く準備中。

芝生の中の少し小高いレストハウスに立ち寄ると、かなりの人数の(大部分が)高齢者のみなさんが、椅子に掛けて池や散歩の人たちを眺めている。

(そうです。今年は特に新型コロナのせいで、外出できない状況が続いているから、天気の良い日は公園に出かけて、15,000歩は歩きましょう!)と心の中で声援を送ったけれど、よく考えたら、私自身が「高齢者」で、「運動不足解消のために」ここにきているのだった!

池に向かって枝を張っているモミジの葉を見ると、細く繊細な形をしている。もしかしたら、昔、田舎の実家の庭の端に植えてあったものと同じではないかと思い、名札を見ると「タムケヤマ」とある(ヤマモミジ系の「紅枝垂れ」の種らしい)。記憶して置こう。田舎のものはもっと細くて網の目状だったような気もするけれど。。。

池の向こう側には「こども広場」があり、バドミントンなどを楽しむ姿が見える。

その先の「上の池」方向に向かう。



ここからは日本庭園だった。(ここまでの、下の池、中の池などは日本庭園の造りそのものだった。パンフレットには「風景式庭園」とある。)

「築山」は日本庭園の代表的な造りだけど、その中の「枯山水」は水無しで、砂や苔、岩石や土地の傾斜などを利用して、水が無くても、水があるかのように自然を造るもので(だから庭を歩かず、境内や縁側などから風情を楽しむ。龍安寺石庭など)、後楽園など今年いくつか見て来た「回遊式庭園」は池などの「水」のある庭園、だそうだ。(ネット情報からの受け売り)

と言うことで、御苑の日本庭園の部分を歩く。ちなみに、プラタナス並木やバラ園のあったところは「整形式庭園」(ヨーロッパの庭園でよく見かけた)と書いてある。

  中央休憩所経由で林の中を抜ける。

 






 池の向こうに見慣れない形の建物がある。その前には冬支度の雪吊り(雪の重さから樹木を守るためのもの)が美しい円錐形のロープの模様を見せている。

ちなみに、「雪吊り」は大きめの木を守るためのもの。他に「雪囲い」というのもあって、これはさつきや椿など比較的低い木(家庭のバラなども)を雪から守るために、竹を三角錐形などに立てて、場合により、その上からムシロ(筵)やシートで被う方法だそうだ。
 ムシロ(筵)と言っても、今では知らない人の方が多いと思うけれど、田舎の私の実家にはムシロ打ちの機械もあって、母が内職に作っていた。
 似たような藁製品の菰(コモ)は手織りで、米を入れて出荷する米俵(タワラ)本体に使い、サンダワラ(桟俵)は米俵の両端を塞ぐための円形の藁のふたに使っていた。
 私はせいぜい稲わらで細い縄を綯う(なう)くらいしかできないけれど……。

そうそう、昔、小学校の運動会の時には、今の様なビニールシートや簡易テントではなく、朝、一家に一枚のムシロ(筵)を持参して、土の校庭に敷いて、仕事の手の空いた家族が子供や孫の応援に駆け付けたものだった。
 100メートル競走の時は、選手はみんな「藁ぞうり」(「ワラジ」のように足の甲やくるぶしまでかける紐は無いシンプルな藁のゾウリ)を履いたり、元気な子は裸足で駆けた。だいたい「裸足」の子が一番になった。

お昼ご飯は、前の夜、祖母や母が作った、昆布や椎茸の煮しめ、桜デンブやかんぴょう、いろいろな野菜などを巻いた太巻き寿司、お茶は定番の番茶。

そこにいる家族(おそらく爺、婆、母親、子供)でにぎやかに昼ごはんを食べて、また、午後の演技になるのが普通だった。 思えば、貧しくも、のどかで、平和な時代だった。「引きこもり」になる子もいないし、少し心身に障害があっても、みんな気にせず助け合い、じゃれ合い笑顔で学校に通ったものだった。

その後、平和で、豊かな生活が身近になるに従って、当時は考えもしなかったような問題が起きてくるようになり、「生活は豊か、心は貧困」になったのは、皮肉なものだ。

(うちは、ずっと生活が豊かでないから、こころは貧しくなっていない?)
 まあ、正直言って、生活は豊かな方がありがたいけど・・・。


 そうそう、散歩に戻って、あの変わった建物はなんだ? という話。

 池の端の橋を渡って、建物へ進む。

旧御凉亭(旧御休息所)だった。これは、(当時の皇太子であり、後の)昭和天皇のご成婚を祝して、台湾在住邦人が献上し、1927年に完成したそうだ。



   この濡れ縁からの眺めは、昭和天皇もご覧になった景色ということになるのかな。  

 




 

 その後、茶室「翔天亭」を巡り(お茶を振舞っていただけるらしい。¥700
また庭園の池周りを歩く。

 いつもの癖で、また気になった。「ここの水はどこから引いているのだろう?」と。

 帰宅後にネットで調べたところ、この御苑の水源は、

千駄ヶ谷→渋谷川→新宿御苑の「上、中、下の池」。(湧水もある)がひとつの流れ。また、玉川上水→新宿御苑の「ひょうたん池」のルートもあるそうだ。
 丁寧に研究しておられる方もあるし、いろいろな説もある様子。


ふと気が付くと、いつの間にか、13時を軽く過ぎている。
  打ち合わせは14時だから30分もない!

着いたのが11時半、1時間半余りここで過ごしたことになる。 膝がどうのこうのより、やっぱり約束の時間に遅れるわけにはいかない。

この前テレビで言っていた「駅へ急ぐ速さで15分歩くと、運動不足の解消の役に立つ」というのを思い出しながら新宿門の方向へ急ぐ。

前回、休館で入れなくて撮ったイチョウの木が門外にあったので、とりあえず1枚。

副都心線の新宿3丁目から打合せ場所に着いたのは丁度14時。いつも、こんな感じだ。はじめゆるゆる、中はのんびり、最後はパッパッ。

 でも、絵のような景色が随所に見られたので、いくつか載せておきます。


 


 

 


























今日の歩数 13,000歩。






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