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本日は快晴、まさに秋晴れ。
打ち合わせは午後3時過ぎ。
通勤経路から少し横道に逸れても、時間は大丈夫そうなので、舎人公園にする。
都内でも北の方の足立区にある。東京都が少し北にせり出した位置にあるので、緯度は殆ど埼玉県の川口市とほぼ同じ。
JR日暮里駅から一旦外に出て、日暮里・舎人ライナーに乗る。12、3分の行程だ。 私の住む千葉市を走るモノレール、千葉スカイライナーは1本(モノ)のレール(軌道)に車両がぶら下がって走る懸垂型だが、この日暮里・舎人ライナーは跨座型(こざがた)で、車両が1本のレールにまたがって走るタイプだ。
浜松町から羽田に行くモノレールもこの型。 しばらく走ると川がある。
隅田川だが、河岸はコンクリートで固められて川の趣はない。
まあ、隅田川は細く、蛇行しているし、下流ではゼロメートル地帯があり、度々氾濫、浸水した歴史があるからしっかりした護岸が必要なのだろう。
次に現れる川は荒川。 さっきの隅田川はこの荒川から別れた支流。
本流の荒川は川幅があり、モノレールから見える両岸には緑も多く、河川敷の野球場もあるようだ。
上流にある江北橋が秋の陽射しを浴びて白く輝いている。
その眺めから10分もしないうちに舎人公園駅に着く。
その後、数分で舎人公園駅に到着。駅のホームからガラス越しに見下ろすと、こっち側にもあっち側にも緑が見える。
駅舎から降りて、公園入口の地図を見て理解できた。
線路を挟んで両側に公園が広がり、全体としては散策、野球、陸上競技など目的別に4つの区画にわかれている。
私は散歩のために、林や池のある区画へ進む。
入り口のモニュメントを見ながら、直線の水路に沿って池の方へ歩く。
水路の終点の噴水の先には大きな池が、左には広い芝生が控えている。
取りあえず池に挨拶する。
岸には釣り人達、池の水面には鴨のグループ。
竿釣りはOKだが、リールなどを使ってのルアーやフライでの釣りは禁止されているようだ。
2、3間のヘラ竿を伸ばしている人が多いが、中には1メートルほどの短い竿で釣っている人もいる。
たまたま小さな魚を1匹釣った人に聞くとマブナだった。
メダカ程の魚が、入れ食いで掛かっている。餌は練り餌。
この池にワカサギがいるかどうか知らないけれど、成魚前のワカサギかも知れない。 釣り人は、釣っても、すぐに放流していた。 一般に、最近の釣り人は、とにかく「釣れ」ればいい。 「浮き」や竿先の変化を見ながらの魚との駆け引き、次に、針に掛かってからは、そのラインや竿から伝わるプルプルとエサを食べたり、エサを咥えてスッと逃げようとする魚の動き、最後は、水面から抜き上げて受け止めた時、手に伝わる跳ねと重量感が楽しいのであって、その他のものはいらない。 だから、キャッチ・アンド・リリース(釣って、あとは、放流する)で満足している。
このように大きな池やゆったり流れる川を見ていると、やってみたいことをひとつ思い出す。 (これを書くと長い話になるけれど……小学校の5,6年生から中1の頃の夏休みにやっていたこと。)
部屋の片隅に眠っている、正月に空高く舞い上がったヒーローのあのタコからタコ糸を5mほど切り取り、その先に地元の釣具店で買ってき少し細長く飲み込みやすく作ってある「ウナギ針」を、「釣り師」になったつもりで丁寧に取り付ける。 次は、裏の畑の堆肥の端を掘り返し、大きなドバミミズを掴まえ、針を完全に隠し、糸も一部隠れるほどに付ける。 その次には、庭で10pぐらいの石を拾ってきて、針から30pぐらいのところに、糸を3,4回巻いて、括りつける(これが重り代わり)。 わざわざ買ったものはウナギ針1本だけで、あとは、ありあわせの物で「ウナギ釣り仕掛け」は出来た。 夕刻に近くの小川に行き、流れが緩やかで水深の深いよどみに仕掛けを投げ込み、糸の端を川岸の立ち木に縛っておく。 翌朝、できるだけ早い時間に川に行き、仕掛けを引き寄せると(この時が、一番ドキドキする)、川岸の奥に引き込まれた仕掛けが、ゆっくりと上がってきて、その先でウナギが抵抗しながらも仕方なく(?)上がって来る。 まあ、大物は釣れないけれど、小中学生の頃の夏休みの楽しみのひとつではあった。 東京タワーが完成したり、昭和の東京オリンピックに向けて新幹線が建設を急いでいる頃の、田舎の小中学生の夏休みの話です。
ついでに言っておくと、あのウナギが日本から2千キロ離れたマリアナ海溝で生まれ、太平洋、瀬戸内海を泳ぎ、川を遡り、あの田舎の小川や溜池まで来たと言われても、それは信じられない。
かなり広い池の畔を4分の1ほど廻っていると、釣りをする人、
それぞれ、マイペースの正午を迎えている。
視線を左の広場に移すと、こちらも、幼稚園児(保育園かな?)たちが芝生に座って、さあ、お昼ごはん、というところ。
公園内は立ち木が多く、また、樹の種類ごとに区分したり、逆に混ぜ合わせたりしているらしく、桜などの花の季節に来ると、また違った景色がみられそうだ。
左の芝生広場を越えて、小高い堤のような所に登る。
途中に、芝生のソリゲレンデ(子供用)がある。
堤の上の展望台(と、私が名付けた)に登ってみると、小高いテラス状にしてある。
周りを見回すと、園内がよく見えるが、それほど遠くが見えるわけではない。
まあ、「展望台」というのは、私が勝手に名付けただけだから、ムリもないか。
もっと眺望の良い「あさひの広場」というのがあるらしいけれど、私は見落としてしまった。
堤上のテラスを一周して、平地(?)におりると、小さな屋根の休憩所があり、母子でランチ中の人もいる。
平地の林を抜けてバーベキュー広場に降りると建物があり、その外壁に水道と洗い場が備えられている。キャンプやバーベキューのための給水施設だ。
そのすぐ近くの芝生広場(キャンプ場)では、幼児たちが弁当を前にして、歓声を挙げている。
西に向かって歩いて行くと児童遊園にはカラフルな遊具が沢山あり、親子連れの家族が数組、楽しそうに遊んでいる。
私も(そろそろランチタイムか)と思いながら、木立の中を進むと「足つぼマッサージ」、「脇ストレッチベンチ」、他にも鉄棒か平行棒風な運動用具などのある広場に出た。 「フィットネス広場」というらしい。
ここは幼児の運動広場ではなく、(私も含めて)やや運動不足気味の大人用の健康広場だ。
私も平行棒風な横棒を使って、斜めの腕立て伏せを数回して肩をほぐし、近くのベンチでおにぎりランチを取る。
通りかかりの人たちの中にも、懸垂したり、腕廻ししたりして、広場を通り過ぎて行く人がいる。
ペットボトルと並べるとおにぎりの大きさがよくわかる。
ランチを済ませて池の周りを歩く。
スマホの歩数計を見ると、この公園だけでの歩数は4,000歩ぐらいしかない。 (せめて8,000歩は歩きたい)と思い、よく言う「駅に向かって急ぐ時の早歩き」でこの池を2周することにした。
池の北の端の一部は菖蒲田らしく、散策のための橋(木道)が架けてある。
5、6月頃にはきっと広い色とりどりの菖蒲が咲き誇ることだろう。
そこから池を眺めると、すぐ前の水面に斜めに刺さった竹の棒が見え、それには色違いのメモリがつけてある。
水深を見るための、素朴な「物差し」らしい。
鴨たちは、池に飽きると陸に上がり、林の中でエサを漁る。
近くにはモニュメント風な噴水があり、そこからの水が、草も生えた小川の流れを通って池に注いでいる。
(さあ、もう一周だ!)と自分に気合を入れ、池の2周目に入る。
(公園は広いから、公園の内周を2周はとても出来ない)
先ほど見た風景を眺めながら歩いていると、かなり派手な、或は目立つものが目に入る。
なんだろう?と思いながら近づいてみると、柵が回してあり、入り口は(今は)閉めてある。一週目では林の中をぐるぐる歩いていたので気づかなかった施設だ。
これは「じゃぶじゃぶ池」。
夏には水が流れ、子供たちが思いっきり水遊びできることだろう。
チビッ子たちの歓声が聞こえて来そうだ。
再び、ずんずん歩く。
そうしていると、1回目には見ていなかった景色が、ときどき現れる。
そう、さっきは誰もいなかったソリのゲレンデで子供が滑っているし、保育園児くらいの子供たちが先生に連れられて上り、先生と二人乗りで滑り降りてくる。
お花見広場では、昼食が終わったチビッ子たちが駆けまわっている。
近くの幼稚園から来たらしい幼児のグループも輪になって座り、黄色い帽子が並んで、タンポポの広場のように見える。
さっきのバーベキューの水道の設備のある建物の中を見ると(今は閉館中)、集会室になっている。 また、見落としていた柳の木の並木も、その巨大な姿に秋の陽射しを浴びて存在をアピールしている。
今日の散歩予定を終えて日暮里舎人スカイライナーでJR日暮里に向かう。
西日暮里でも日暮里でもJRに接続しているようだが、理由もなく日暮里駅で降りて、乗り換えようとして歩道を歩くと、駅前のロータリーに何かの像がある。
近寄って見ると、太田道灌の乗馬姿の像と、その向こうに花を持つ女性の像もある。
あの
「七重八重 花は咲けども 山吹の 実の(蓑)ひとつだに 無きぞ悲しき」 の歌の舞台がここ日暮里だったようだ。
その少し先に消防車が見えた。東京消防局荒川消防署音無川出張所だった。
今日の散歩は、ひたすら歩いて、これで終了。
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