天気予報の昼頃の気温は20℃だから、コートを着るのを躊躇する。
とは言っても、夕方の帰宅時には肌寒いかも知れないので、冬物のコートをそのまま着て出かける。
昨日までの荒れ模様がウソのように、快晴で、駅に向かう自転車も快調。
まだ緊急事態宣言中なので、電車は1両に10人程度の乗客。窓を開けて風を入れてある。
12時少し前に池袋に着き、14時から打ち合わせする会社に立ち寄り書類を置き、通りを南下する。
郵便局前から丸井の五差路を過ぎ、芸術劇場、池袋警察署、を左に見ながら5分ほど歩くと、消防署を過ぎたところで大通りは突然切れる。不思議な通りだ、後は前方に行くのも左右に曲がるのも、車1台分の幅の路地になる。
直進方向への路地を進むと住宅街が続き、2度ほど折れ曲がって進むと、突然警報器の音。西武池袋線の踏切だ。JRは高架が進んでいるけれど、千葉の方の京成も踏切が多い。
そういえば、千葉の津田沼の近くの京成線の踏切は、朝夕の通勤時間帯は遮断機が頻繁に降りて「開(あ)かずの踏切」状態になることもある。
いつものように突然だけれど、京成電車で思い出すのは、「行商のおばちゃん」たちの話。
昔は千葉の主婦の中には行商をする人たちが多くいて、その人達は、京成を使って、築地などの市場に仕入れに行き、背負った大きな籠に魚や野菜を一杯に入れて、京成沿線の民家を行商で売り歩いたそうだ。
京成電車に毎日乘るから、京成の株(野菜ではなく証券)をこつこつと買いため、株主優待も利用し、仕事を止めるころには相当の株数になり、それが次第に値上がりし、それを売って家を建てる足しにしたそうだ。
いや、いつの間にか家一軒建つほどになっていた、という話も聞いた。
株はそのように、あまり欲を出さないでこつこつ買いためるのが良いのであって、「主婦が買い物かごを下げて株屋(証券会社)の店頭に来るようになったら、(高い)相場が終わりに近い」とも言われている。
また、「麦わら帽子は冬に買え」といわれるように、みんなが欲しいと思わない時に安値で買って、皆が買いに行く頃に売るのが良い、とも……。
「ひとの行く 裏に道あり 花の山」と千利休も言っています。

散歩の話に戻って、左右両方向からの電車を眺めて踏切を渡り、(さあ、どちらに行こうか?)と思って視線を右に振ると、塀がずーっと向こうまで続いている。築地(ついじ)塀というのだろうか、白い塗り壁の上に瓦の屋根が載っている。
門の前の説明板によると、庭園内の「赤鳥庵(せきちょうあん)」は、大正期に鈴木三重吉たちが出版した児童文学の文芸誌「赤い鳥」にちなんで名づけられたとか。
HPによると、平成2年(1990年)に豊島区が「自然に接し、伝統文化を育む場として」開設したとのこと。

門をくぐると正面に赤鳥庵があり、右の池の畔を進む。

池の東端には休憩所の「六角浮き見堂」があり4,5人の高齢の方たちが、池を眺めながらの昼食を楽しんでいる。その脇の坂道部分では雑誌かパンフレット?の写真の撮影中。
それぞれ赤と白の和傘を手にした和装の男性と女性のモデルに、カメラマンとアシスタントが指示を出しながら、植木と池のバランスの良いところを選び撮影している。
うーん、もしかしたら、結婚式の前撮りかもしれない。
(この「前撮り」は、おにぎり散歩をしているうちに知ったことだけど)
アシスタントが「通行の邪魔してすみません」というように頭を下げるので、「遠景で取らせてもらいますよ」とひと言断って、景色の中に入れて撮った。
ここは「池泉回遊式」の日本庭園で、木々、岩、滝、池など、自然の景色を写しが配され、岩の間から落ちる滝は飛沫をきらめかせ、その下のせせらぎからは春の足音が聞こえてくるようだ。
その流れが池に注ぎ、大きな鯉が悠々と泳ぎ、岩の上ではカモが羽根を休めている。

滝見台と呼ばれる芝生の広場では、茶の野点(のだて)を催すこともできるらしい。広場の端にはそこそこに大きな木があり、赤い花が満開だ。
ちょうど昼なので、おにぎりを食べようと思ったが、あちらのベンチも、こちらの石台も満員なので、その滝見台の広場の端の縁石に腰を下ろし、ランチにする。
ボケの花の傍に、スミレが遠慮がちに咲いている。
鈴木三重吉の「赤鳥庵」は伝統的な数寄屋造りの建物で、部屋は茶会、華道や句会などにも利用できるようで、今日配布中のお知らせのパンフレットには、「和の音色が描く春景色―筝と尺八の夕べ―」として、4月3日?に、友常毘山(ともつね びざん)さんの尺八と、山水美樹(やまみず みき)さんの筝の演奏会が予定されている。
お二人とも若手の音楽家らしい。聴いてみたいけれど、来れるかな? (私はヒマそうに見えるかも知れないけれど、それほど時間があるわけではない)。 今は新型コロナの影響で、定員も60人までに制限されている。
門を出る前、ふと見ると枯れた枝の下がった大きな木がある。枝垂れ桜だそうで、おそらく3週間もすれば、見栄えのする桜の花が満開になることだろう。

門を出て、路地を5分も歩くと目白駅。
その向こう側に緑の林が見えるので、駅前を通って信号を渡ると学習院大学だった。卒業式を終わったか、この4月に入学するのか、女子学生風な3人が正門前で記念撮影をしている。
この場所の感覚は初めてなので、目白駅は、私は初めての利用だったようだ。
山の手線の駅は全部降りたことがあると思っていたけれど、昨年出来た高輪ゲートウエー駅は、この前の高輪大木戸訪問の時も泉岳寺の時も利用しなかった。
今日の歩数は 12,000歩 (思ったより少なかった)
ホームページのトップへ

|